タカの日記

医療系サラリーマン兼ラガーマンの日々の思いをまとめていきます。

2018年度 ラグビー大学選手権決勝 雑感 No.039

遅くなりましたが、大学選手権決勝のレビューです。

 

高校は大阪桐蔭高校トップリーグ神戸製鋼高専の大会も奈良高専が優勝して関西ラグビー強しという機運が高まっている中で天理大学が初優勝を狙えるか?と言う事に注目してみていました。
天理大学は準決勝では帝京大学に勝ち、10連覇を阻みました。明治大学は早稲田相手に早明戦での借りを返して22年ぶりの優勝を狙うところです。
 
試合の流れは天理がゴール前のラインアウトから狭いサイドをNo.8マキシとキャプテンでもあるHO島根で攻めて先制。天理大学5-0明治大学
但し、その後明治大学もワイドに攻めながら天理からのプレッシャーを上手く逃れながら右隅にWTB山崎がトライで5-5の同点としました。
その後も天理大学は攻めていきたいのですが、スクラムは強くてペナルティをもらえてもその後のラインアウトが安定せず攻めの起点を作れませんでした。
 
また明治大学のキックでエリアを取りながら試合を進める戦術に付き合ってしまいましたね。明治大学は敵陣でのラインアウトからモールで押すと見せかけた後に素早く展開しながら
ラインアウトのテール(最後尾)の選手とバックスの選手の間のスペースを上手く攻めてトライを上げました。キックも決まり明治大学12-5天理大学
 
その後天理が明治陣内に攻め込んで前半の終盤を迎えますが、この時に攻め急いでしまったと思われました。ゴール前でFWのショートサイドを繰り返していましたが、
ゴールエリアに入ってもボールを地面にグラウンディングできなければ、スクラムでの再開(プレーが切れてしまう)になるので前半が終わってしまう事になりました。
逆に言えばプレーが切れなければ攻め続けられたので強いランナー(No.8マキシ、LOモアラ、CTBフィフィタ)だけにボールを持たせてもっと攻められたらトライにならなくてもペナルティなどをもらえたかもしれません。
もちろん「たられば」ではありますが…。
 
後半は14分に明治大学はそれまで劣勢だったスクラムをこの試合通じて一度だけめくりあげてペナルティを獲得志それでPGを決めて三点追加となり、この時点でスコアが明治大学15-5天理大学となりました。
 
更にその後も天理大学陣内でFWが近場を付きながら前進を繰り返し、最後はHOの武井がポストの真下にトライを上げました。


このトライも単純に武井の突破力だけが注目されがちです。しかし、この試合を通じて明治大学のFWは最初に球を受けたプレーヤーがコンタクトをするのではなくそこから内側や外側に居るプレーヤーに球を渡してそのプレーヤーが突進することを繰り返していました。


この武井がトライをする直前に外側から6番のプレーヤーが内側に走り込んでいます。それを一瞬目にした天理の4番の選手が武井にはプレッシャーをかけられず結果、裏に抜けてのトライとなっております。


地味ですがこの明治の6番のダミーが効いた形になってトライとなりました。キックも決まり、明治大学22-5天理大学
 
 
ここからは天理大学は割り切って攻めるしかなくなって強い留学生のランナーを散らばらせるのではなく、一つの塊で使うようになりました。また迷いのない思い切ったアタックでじりじりと明治のDFを押し下げて行ってるようにも見えました。


そこからは天理大学主将のHO島根です。最初のトライよりもさらに鮮烈な走り、タックルを受けた後もボールを持ち直して再度走り出すアタックから反撃の狼煙のトライを上げました。明治大学22-12天理大学
 
その後もCTBフィフィタのトライにつながる鋭いランもまた見れました。この時点残り5分。明治大学22-19天理大学
 
最後は明治大学がボールをキープしようと粘りましたが、天理大学のFWがルールを正しく理解してボールを奪い返す。最後のスクラムからのアタックはCTBフィフィタのノックオンで終わってしまいましたが、見どころ充分の大学選手権決勝戦でした。
 
明治大学慶應大学早稲田大学に負けて、4年生だけで話し合い、自分たちを見つめなおす機会を得たとのコメントも見ました。また、東海大学との試合でテビタとアタアタモエアキオラという大学界屈指のランナーともなる相手とも試合が出来ていたのも大きかったようです。


更には主将でもある福田君の成長。10月―12月くらいの対抗戦の試合の時はキャプテンシーというよりはSH独特の小賢しい動きばかりが気になっていましたが、この決勝の舞台では相手の天理大学のSHと比較してもゲームマネジメントがうまく出来ていたように思えます。
 
ここまで来るのも大変だったと思いますが、来年度は追われる身になり10連覇を逃した帝京なのか、悔しい思いを下級生がリベンジする天理大学なのかまた来年の正月が楽しみです。